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国家賠償請求:訴状(1/3)

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    ※以下、訴状の抄出を掲載します。

    訴    状

    2011年5月16日
    東京地方裁判所民事部 御中
                 
                      原告ら訴訟代理人弁護士  梓  澤  和  幸

                      同            上  柳  敏  郎

                      同            西  岡  弘  之

                      同            難  波     満

                      同            岩  井     信

                      同            山  本  志  都

                      同            癲 ゞ供  ̄Α ゝ

                      同            河    健 一 郎

                      同            福  田  健  治

                      同            小  松  圭  介

                      同            井  桁  大  介

                 
    当事者の表示    別紙当事者目録記載のとおり
    事件の表示      公安テロ情報流出被害国家賠償請求事件

    訴訟物の価額    金1億5400万円
    貼用印紙額      訴訟救助申し立て

     
    目 次
    (略)

    請求の趣旨

    1 被告らは、連帯して、各原告らに対し、それぞれ金1100万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
    2 訴訟費用は被告らの負担とする。
    との判決並びに仮執行の宣言を求める。

    請求の原因

    第1 本件流出事件の経緯と被告らの責任
    1 事案の概要
     本訴訟は、警視庁、警察庁及び国家公安委員会(以下「本件実施機関」という)が、人権を侵害する態様で原告らの個人情報を収集し、収集した個人情報を正当な理由無く保管し、かかる個人情報を漏洩させ、さらに、漏洩後に適切な損害拡大防止措置を執らなかったこと(以下、総称して「本件各不法行為」という)によって、原告らに生じさせた損害の賠償を、本件実施機関の責任主体である被告らに求める訴訟である。

    2 本件流出事件の経緯
     いわゆる公安テロ情報流出事件(以下「本件流出事件」という)の経緯は以下のとおりである。

    (1)2010(平成22)年10月28日ころ、警視庁公安部外事第三課(以下「外事第三課」という)の捜査資料114点(甲1。以下、流出した上記114点を総称して「本件流出資料」という)が、ファイル交換ソフトのWinnyを通じてインターネット上に流出した(甲2、3)。流出した捜査資料は、20を超える国と地域の1万台以上のパソコンにダウンロードされた(同年11月25日現在。甲5)。

    (2)本件流出資料には、原告らを含む一般私人の、国籍、出生地、氏名、生年月日、顔写真、住所、勤務先、使用車両、容疑、対応状況及び方針、家族・交友関係(関係、氏名、生年月日、勤務先、住所)、上陸年月日、旅券番号、旅券発行年月日、在留資格、本国住所、在留期間、外国人登録年月日、登録市町村、登録番号、住所歴、学歴・職歴、免許関係、犯罪情報、所属団体、モスクへの立ち入り状況、立ち寄り徘徊先、行動パターン概要、身体特徴等の詳細なプライバシー情報が含まれていた(甲1の11の1〜20、1の12。以下、本件流出事件により流出した原告らの個人情報を総称して「本件個人情報」という)。流出したプライバシー情報の大半は国内外のイスラム教徒についての情報である。対象者の国籍は様々であり、イスラム教徒であること以上の共通項が無く、本件流出資料がイスラム教徒を対象とした大規模捜査に基づく資料であることは明らかであった。
    (3)また、本件流出資料には、外事第三課及び警察庁の内部資料が含まれていた。同資料によれば、当該捜査は、テロ対策の名目の下、日本国内のイスラム教徒の個人情報を網羅的・機械的に収集することを目的とするものであった。

    (4)同年10月29日ころ、警視庁及び警察庁は、本件流出事件を認知した(甲2、3)。しかし、両庁とも、本件流出資料が警視庁及び警察庁の内部資料であることを認めず、事態を放置したため、次々と同資料が閲覧・ダウンロードされ、原告らの被害は飛躍的増加の一途をたどった(甲4〜6参照)。

    (5)同年12月9日、原告らの一部は、東京地方検察庁に対し、本件流出事件について地方公務員法違反の被疑事実で告訴状を提出するとともに、国家公安委員会に対し、謝罪と被害者保護等の対応を申し入れた。同日、国家公安委員会は、被害者保護等を警察庁に指示し、これを受け警察庁は全都道府県警察本部に対し必要な措置を指示し、警視庁も、被害者保護の徹底等を指示する副総監通達を発出した(甲2、3)。翌10日、同告訴状は正式に受理された。なお、上記原告らの一部の代理人弁護士は、前記申入れに先立ち、同年12月8日、国家公安委員会に事前連絡をしていた。

    (6)同年12月24日、警視庁及び警察庁は、「本件データには、警察職員が取り扱った蓋然性が高い情報が含まれていると認められた」として、警視庁及び警察庁の捜査資料が流出した事実を認めるに至った(甲2、3)。

    3 警視庁・警察庁が一体となって行った不法行為
     本件流出事件により以下の事実が明らかになった。
     第1に、警察庁の指揮の下、警視庁を中心とする日本の捜査機関が、イスラム教に対する偏見・誤解に基づく思い込みと事実に基づかない憶測から、イスラム教徒であることのみを理由として、日本に在住するイスラム教徒を、横断的・網羅的・組織的・機械的・体系的に監視し、その個人情報を収集していた。
     第2に、警視庁及び警察庁が取得した大量のイスラム教徒の個人情報を、犯罪との関連性を検討することなくリスト化し、保管・管理していた。
     第3に、収集した個人情報を、後述のとおり、いわゆるセンシティブ情報が数多く含まれるものであるにもかかわらず、容易にインターネットに流出してしまうような脆弱な情報管理態勢に基づき管理していた。
     第4に、一見して捜査資料と分かる情報が大量に流出した事実を認識しながら、2ヶ月近くも本件流出資料が警視庁及び警察庁が作成・管理していた文書であることを認めず、実効的措置をとることなく漫然放置して損害を拡大させた。

     上記の警視庁及び警察庁の各行為は、以下の4つの不法行為を構成する。
      〃抻訥5擇啖抻…は、イスラム教徒であることのみを理由として、横断的・網羅的・組織的・機械的・体系的に、原告らイスラム教徒の本件個人情報を収集し、もって、原告らの信教の自由及びみだりに自身の信仰内容・信仰活動に関する情報を行政機関に収集されない自由を侵害した。
     ◆〃抻訥5擇啖抻…は、捜査活動により収集した原告らの個人情報を正当な理由なく保管し、もって、原告らのみだりに自身の信仰内容・信仰活動に関する情報を行政機関に保管されない自由を侵害した。
      警視庁及び警察庁は、本件個人情報を故意又は過失に基づきインターネット上に流出させ、もって、原告らのプライバシーの自由、みだりに自身の信仰内容・信仰活動を他者に知られない自由及び名誉権を侵害した。
     ぁ〃抻訥5擇啖抻…は、本件個人情報がインターネットに流出した事実を早期に認識したにもかかわらず、何ら実効的な損害拡大防止措置も執らず漫然とこれを放置し、もって、原告らに生じた損害を拡大させた。
     以上のとおり、警視庁及び警察庁は、,覆い鍬い遼楫鏗読塰々坩戮鮃圓辰燭發里任△襦 

    4 被告らの責任
    (1)被告都の責任
     被告都は、国家賠償法上、警視庁の行った本件各不法行為の責任を負う。
    (2)被告国の責任
     被告国は、国家賠償法上、警察庁の行った本件各不法行為の責任を負う。
    また、国家公安委員会は、上記,覆い鍬い遼楫鏗読塰々坩戮砲弔監督・是正する義務を負っていたにもかかわらず、これらの義務を怠ったことにより、警視庁及び警察庁との間で共同不法行為をなしたところ、被告国は、国家賠償法上、国家公安委員会による同不法行為の責任を負う。

    5 原告らの損害
     原告らは、本件各不法行為によって甚大な侵害を受けた。
     原告らは、その宗教的活動や交際歴など通常一般人が秘匿を強く望むセンシティブ情報を組織的に収集、保管、継続利用された。また、「国際テロ」の容疑者であるかのようなあらぬ疑いをかけられ、それと密接不可分の形で個人情報が不特定多数に伝播する状態下に流出させられた。
     これにより、原告らは、そのプライバシーが侵害され、社会的評価が低下し、さらには、原告らの生命・身体に対する安全が脅かされるに至った。原告らは、毎日不安を覚えながらの生活を余儀なくさせられている。一度流出した情報を回収することは不可能である。原告らは、現実に職場から解雇され、経営する飲食店の売上が激減する、家族の身の安全を守るべく家族と別居を余儀なくされる、母国へ帰ることが出来なくなる等の多岐に渡る取り返しのつかない損害を受けた。
     原告らが有形、無形に受けた損害を金銭的に評価すれば、それぞれ金1000万円を下ることはない。また、弁護士費用としては、それぞれ上記損害の1割の金100万円が相当である。

    6 小括
     よって、原告らは、被告らに対して国家賠償法第1条第1項に基づき、生じた損害の賠償として、それぞれ金1100万円の慰謝料を請求する。
     以下、本件各不法行為の態様につき詳論する。

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