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秘密保全に関する法制の整備に対する意見

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     秘密保全に関する法制の整備に対する意見

     

    20111124

     

    ムスリム違法捜査弁護団                                            

     弁護士 梓澤 和幸(団長)                                      

    弁護士 上柳 敏郎、同 西岡 弘之、同 難波 満、同 岩井

       同 山本 志都、同 高橋 右京、同 健一郎

    福田 健治、同 井桁 大介、同 小松 圭介

     

     

      当弁護団は、いわゆる公安テロ情報流出事件(以下「本事件」という。)の被害者らが国及び東京都に対して提起している国家賠償請求訴訟(以下「本件訴訟」という。)の原告ら代理人であるところ、このような立場から、「秘密保全のための法制の在り方について(報告書)」(以下「本報告書」という。)に対し、次のとおり意見を述べる。

     

     

    1  意見の趣旨 

    1  本件訴訟において、国及び東京都が警察からのデータの流出について認否をしないと陳述しているにもかかわらず、本報告書においては、本事件が「国際テロ対策に係るデータのインターネット上への掲出事案」として「主要な情報漏えい事件等の概要」に掲げられ、秘密保全法制の必要性を裏付ける事案とされていることに抗議する。


    2  本事件では、警察による情報収集活動の名のもと、イスラム教に関係する個人、団体等に関する個人情報が人権を侵害する態様で違法に収集・保管されていたものであり、秘密保全法制がこのような行政機関による人権侵害の秘匿を容易にすることに懸念する。


    3  本事件発生後、警察が情報の流出について実効的措置をとることなく漫然と放置したのみならず、現在も事案の解明や被害者らに対する救済が何らされていないことからすれば、秘密保全法制に関する議論を行うより以前に、速やかに行政機関からの情報の流出による被害者を救済するための制度を整備するべきである。

      

    2  意見の理由

    本事件が秘密保全法制の必要性を裏付ける事案とされていることの不当性について

      本報告書においては、本事件が、「国際テロ対策に係るデータのインターネット上への掲出事案」として「主要な情報漏えい事件等の概要」に掲げられた上、「国際テロ対策に係るデータがインターネット上へ掲出されたもの。当該データには、警察職員が取り扱った蓋然性が高い情報が含まれていることが認められた」として、秘密保全法制の必要性を裏付ける事案とされている。

     しかし、本件訴訟においては、国及び東京都は、データが警察から流出したか否かについて、「警察による情報収集活動の具体的な内容を個別に明らかにすることは相当でない」、「認否することにより公務上の秘密が明らかになり、公務に支障が生じるおそれがある」などとして、認否をしないと陳述している。

     このような国及び東京都の不当な訴訟追行の態度に鑑みれば、政府においては、秘密保全法制の法案化作業を進めるべく、本事件を秘密保全法制の必要性を裏付ける事案とすることは許されないものであって、当弁護団は、このように本事件が利用されることに強く抗議する。

      

    2  秘密保全法制が行政機関による人権侵害の秘匿を容易にするおそれがあることについて

      本事件においては、警視庁及び警察庁が、イスラム教に関係する個人、団体等について、横断的・網羅的・組織的・機械的・体系的に監視し、その個人情報を人権を侵害する態様で違法に収集し、収集した個人情報を違法にリスト化して保管していたことが判明している。

     しかし、本報告書における秘密法制法制については、「特別秘密」の概念自体が広範かつ不明確である上、「国の安全」・「外交」に加えて「公共の安全及び秩序の維持」までが特別秘密として取り扱うべき事項とされている。

     さらに、秘密の指定を行う主体については、秘密を取扱う行政機関自体とされていることからすれば、行政機関の恣意的な判断によって秘密が指定されるおそれがあるといわざるを得ない。

     このことは、秘密保全法制によって、本事件のような行政機関による人権侵害が容易に秘匿されることになりかねないことを意味するものであって、当弁護団は強い懸念を有するものである。

     

    3  速やかに行政機関からの情報の流出の被害者を救済するための制度を整備すべきであることについて

      本事件において、警視庁及び警察庁は、データが大量に流出した事実を認識しながら、当該データが警視庁及び警察庁において作成・管理していた文書であることを認めず、実効的措置をとることなく漫然と放置して被害を拡大させたものである。

     その上、警視庁及び警察中においては、事件発生後約1年を経過しようとしている現在においても、事案の解明や被害者らに対する救済は何らされていないところ、国及び東京都は、本件訴訟においては、警察からのデータの流出について認否をしないという陳述をするに至っている。

     このような状況に照らせば、政府においては、秘密保全法制に関する議論を行うより以前に、本事件について速やかに事案を解明し、被害者らを救済するための措置をとるとともに、行政機関からの情報の流出による被害者を救済するための制度を整備するべきである。

    以 上

     


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