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2011年11月8日付原告ら準備書面(1)

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     本訴訟は公安警察の捜査手法の合憲性、適法性を問うものです。その社会性に鑑み、弁護団の主張内容を本ブログを通じて順次公開いたします。主張内容を社会において共有するとともに幅広く批判を受けることで今後の訴訟活動に反映させてゆきたいと考えております。また、本訴訟における被告らの応訴態度それ自体に資料的価値があると考え、被告らの主張内容についても公開を検討しております。
     まずは、2011年11月8日付原告ら準備書面(1)を公開いたします。


    平成23年(ワ)第15750号 公安テロ情報流出被害国家賠償請求事件

    平成23年(ワ)第32072号 公安テロ情報流出被害国家賠償請求事件

    原告 原告番号1 外15名

    被告 国、東京都

     

    準 備 書 面 (1)

     

    2011年11月8日

     

    東京地方裁判所民事第41部合議1B係 御中

     

    原告ら訴訟代理人弁護士           梓 澤 和 幸

    同                上 柳 敏 郎

    同                西 岡 弘 之

    同                難 波   満

    同                岩 井   信

    同                山 本 志 都

    同                癲ゞ供 ̄Αゝ

    同                河  健一郎

    同                福 田 健 治

    同                小 松 圭 介

    (略)                      井 桁 大 介

     

     被告国及び被告とは、各準備書面(1)において、原告ら主張の事実の一部、特に本件流出資料が警視庁公安部外事第三課の捜査資料か否かという本件訴訟の核心部分について、認否を留保している。

    かかる応訴態度は極めて不当であり、また訴訟上の信義則に反するものである。原告らは、本準備書面において、この点に限り意見を述べ、被告らに対し、警視庁公安部外事第三課の捜査資料か否かについて認否するよう強く求める。なお、各準備書面(1)に対する反論は、被告都のその余の主張を待って行う予定である。

     

    第1 意見の趣旨

    1 本件流出資料(甲1)は、その方式及び趣旨並びに本件発覚の経緯等から、公務員が職務上作成したものであり、真正に成立した公文書と優に認められるものである。

     被告らは、本件の解明ならびに被害者である原告らの速やかな救済とその慰謝のために、留保部分について速やかに認否すべきである。

     

    第2 意見の理由

    1 認否を留保することは、原告ら被害者を苦しめるものである

     警察庁、警視庁をはじめとする警察組織は、原告らに対し、訴状記載の各行為により苦しめたばかりか、今回、認否を一部保留することで、再び苦しめた。

     被告国(警察庁)は、2010年12月9日、「個人情報が掲出された方については、相手方の心情に十分配慮し不安感の除去に努めるほか、・・・的確な対応に努めるよう」指示し、被告都(警視庁)も同旨の副総監通達を発出した(甲2・8頁、被告準備書面(1))。

     しかし、本件訴訟で被告国がまずなしたことは、原告らが「個人情報が掲出された方」であることを十分承知しておきながら、「国籍を明らかにせよ」と求めてきたのである(被告国・答弁書)。これは原告らの心情を十分配慮しないどころか、あえてその心情を逆なでするものであって、警察庁の指示に反する訴訟行為というほかない。

     そして、被告らは、具体的認否については核心部分において留保しつつ、責任がないことについては極めて饒舌に抽象的に主張し、その無慈悲性、非人間性を再度露わにした(被告・準備書面(1))。これでは、本件における個別具体的な真相は一切明らかにならず、原告らは、個人情報がどのようにして警察職員に「取り扱われ」たかわからず、個人情報が「掲出されっ放し」で、誰も責任を取らないままになる。法執行者には司法上の高潔性(judicial integrity)が求められるところ、被告らの認否留保はこの資質が著しく欠けることを示すものである。

     

    2 被告らは「流出」を認めている 酬抻…の謝罪

     被告国は、「警察庁では、警察職員が扱った蓋然性が高い情報が含まれている情報がインターネット上に掲出されたことにより、不安や迷惑を感じる方々が現にいるという事態に至ったことは、極めて遺憾であると考えている」と主張する(被告国・準備書面(1))。

     しかし、警察職員が扱った情報がインターネット上に掲出されたのであれば、「極めて遺憾」であるのは当然である。逆に、警察職員が扱った情報が掲出されなかったのであれば、被告国が、「極めて遺憾」であると考える理由はない。

    したがって、警察庁が「極めて遺憾」と考え、それを表明したことは、警察職員が扱った情報がインターネット上に掲出されたことを警察庁が認めたことにほかならない。現に、警察庁は、2010年12月24日の記者会見において、桜沢健一参事官が「『申し訳なく思っています』と謝罪して頭を深々と下げ」(甲6の2)、報道機関は「警視庁、流出を謝罪」「内部文書と認める」と広く報道したのである。(甲6の1)。

    警察庁が「極めて遺憾」であると考え、「『申し訳なく思っています』と謝罪して頭を深々と下げ」た事実は、被告らが本件「流出」を認めたことにほかならない。

     

    3 被告らは「流出」を認めている◆夙詭保全法案の立法事実としての「利用」

     現在、被告国は、治安や外交など国の重要な情報を漏洩した公務員の罰則を強化する秘密保全法案(仮称)の法案化作業に着手している。

    これは、2010年12月、内閣官房長官が立ち上げた「政府における情報保全に関する検討委員会」のもとに「秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議」を置き、2011年8月、同有識者会議が「秘密保全法制を早急に整備すべきである」とする報告書を出し、これを受けて法案化作業を進めているものである。同法案を提言した有識者会議は、政府(内閣官房)が事務局を担っていた。そして、同事務局が用意した資料を本準備書面にも添付した(平成23年8月8日付「秘密保全のための法制の在り方について(報告書)」[別添2]参考資料(事務局作成)。書証として今後提出予定)。

     この資料は、「主要な情報漏えい事件等の概要」と題して、本件についても、「国際テロ対策に係るデータのインターネット上への掲出事案」として公務員による他の情報漏えい事件と同列に紹介し、「国際テロ対策に係るデータがインターネット上へ掲出されたもの。当該データには、警察職員が取り扱った蓋然性が高い情報が含まれていると認められた」としている。

     まさに、被告国は、本件を秘密保全法案の立法事実として「利用」しており、この事実は、被告国が本件「流出」を認めたことにほかならない。

     

    4 認否を留保しながら否認ないし争うことは、訴訟上の信義に反する

    被告国は、認否を留保しながら否認ないし争うことは、訴訟上の信義に反する。例えば、被告国は、認否を留保しながら、「『イスラム諸国会議機構(OIC)の国籍を有する者及びその他の国籍を有するムスリム』の、国籍、氏名、生年月日、住所等を、横断的・網羅的・機械的・体系的に収集する作業を、大規模かつ組織的に実施していたとの点は否認」とする。

     しかし、本件流出情報には、次のような記載がある(甲1の1)。

    「1 実態把握の対象

         イスラム諸国会議機構(OIC)の国籍を有する者及びその他の国籍を有するムスリム

    「2 報告事項

       (1)必要事項

         々饑

         ∋疚

         生年月日

         そ蚕蝓粉鋲發凌卦対象外国人等は、必ず居住確認の有無を記載すること)

         ノ」

    すなわち、本件流出資料には、実態把握の対象を「イスラム諸国会議機構(OIC)の国籍を有する者及びその他の国籍を有するムスリム」として、それ以上限定していないこと、巡回連絡の手法で網羅的に実態把握していること、「把握した場合は全て公安係に報告すること」「巡回連絡カードが提出されていても必ず人定を確認すること」「新規対象外国人等は、必ず居住確認の有無を記載すること」等としていること、注意点として「宗教に関する言動は慎む」「外国人の狙い撃ちと思われないよう言動や手法には注意する」ことが挙げられているのである。

    したがって、本件流出資料の方式、趣旨からすれば、「『イスラム諸国会議機構(OIC)の国籍を有する者及びその他の国籍を有するムスリム』の、国籍、氏名、生年月日、住所等を、横断的・網羅的・機械的・体系的に収集する作業を、大規模かつ組織的に実施していた」ことが優に認められるのである。

    まさに、被告らの否認ないし争う旨の主張は、本件流出資料についての認否をしないことで可能になっているのであって、このような訴訟上の信義に反する訴訟行為は、許されてはならない。

     

    5 まとめ

    以上のとおり、本件流出資料(甲1)は、その方式及び趣旨並びに本件発覚の経緯、特に警察庁が記者会見をして一応の謝罪を行い、国が秘密保全法案の立法事実として本件を積極的に利用していること等から、公務員が職務上作成したものであり、真正に成立した公文書と優に認められるものである。

     にもかかわらず、被告国が、具体的認否を留保することで、抽象的に否認ないし争うとすることは訴訟上の信義に反するだけではなく、本件の被害者である原告らを苦しめ、もてあそぶものであって、客観義務を負い司法上の高潔性が求められる被告らの訴訟行為として許されない。

    したがって、被告らは、本件の事案の解明ならびに被害者である原告らの速やかな救済とその慰謝のために、留保部分について認否すべきである。

     

    以上


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